若年性認知症の母と私。

60歳の母と27歳の私の遠距離介護日記

母とショッピング

前回の続きです。

 

前回は病院に行って自宅でお昼ご飯を食べたところで終わっていました。

今回は午後からのお話になります。

 

 

今日は父が夜お仕事なので、父は仮眠タイムです。

父が母に邪魔されずスヤスヤ眠るために私は母と一緒にショッピングに出かけました。

 

まず、母のスニーカーの靴底が擦れて破れかけていたので靴屋さんに行きました。

母に自分で靴を選んでもらいました。

靴を試着して、すぐに欲しい靴を見つけることができました。

でも、母は試着した靴のままレジへ向かいました。

私「靴買うんだから脱いで」

母「わかった」

なのに、母は靴を脱ぎません。

私「靴脱いでってば!」ちょっと強めに言いました。

母「わかった!!」

母はまだ靴を履いたままです。

私「ここに座って靴を脱いで!」

母「わかった!!」

やっと母は靴を履き替えてくれました。

このやり取りだけでも疲れちゃいます。

なんでわかってないのに「わかった」って言うんでしょうか・・・?

 

無事に靴を購入して、そのまま新しい靴を履いてイオンに向かいました。

イオンでは母に試練を与えました。

前にイオンに行ったときに駐車場にたどり着けなかったので、

今回は自力でたどり着けるように出入口の場所を覚えさせました。

母は出入口をよく見て覚えたと言いました。

 

そのあとは母の肌着や私が千葉に持っていくお土産などを買いました。

ちなみに、母は下着で寝て下着でリビングをうろつくので、ブラジャー着用を禁止にしました。

しかも、ブラジャーのホックが出ていて危なかったので捨てました。

それから、母はカップ付きのキャミソールを下着や肌着として着用しています。

今回はドライタイプのキャミソールを2着買いました。

 

買い物はだいたい1時間くらいで終わりました。

さて、問題なのは駐車場まで戻ることです。

私「買い物終わったから帰ろう。駐車場の場所わかる?」

母「わかるよ。こっちでしょ?」

この時点で反対方向に進んでいました。

時間はまだまだあったので、母の思いのままに歩いてみようと思いました。

結果的に1時間歩き回りました。

同じルートを行ったり来たり。

途中で疲れて何度もソファや椅子に座って休憩しました。

でも、座って5秒で「もう帰ろう?」と母は言って歩き出します。

ちっとも休憩になっていません。

きっと、歩いても歩いても駐車場にたどり着かないから不安と焦りがあって

落ち着かなくなったんでしょう。

そんな母の様子をみていて、結局私が駐車場まで案内しました。

母は「やっと帰れるね」と言っていました。

いつも同じ出入口から入っているのに、駐車場の場所が分からなくなるなんて・・・。

まぁ、イオンにはときどきしか行かないから仕方ないのかな。

母が覚えていられなくなることがどんどん増えてきているような気がします。

 

帰りの車の中で母は「こんなに帰るのが大変だと思わなかった」と言いました。

少しくらい頭を使って思い出すような素振りを見せてくれたら良かったのに、

母はひたすら歩いて「帰れない」と嘆くばかりでした。

落ち着いて考えてみる、思い出してみるということをしてほしかっただけなんですが、

それはきっともう母にはできないのでしょう・・・。

少しだけショックでした。

 

家に着いてから、私は千葉に帰る準備をしました。

父の運転する車に母も乗って最寄り駅まで向かい、電車で空港まで向かいました。

新千歳空港に着いたので、母に電話をしてみました。

すると、電話に出たのは父でした。

父「誰かさんが①②のシール貼ったせいでママがお風呂を空焚きした」

実は母は自分でお風呂のお湯を沸かすことができなくなっていました。

どのボタンを押せばいいのか分からなかったようです。

なので、押すボタンに①②というシールをつけていました。

母にはお風呂にお水を貯めてからボタンを押すように伝えていました。

でも、母はそれができませんでした。

電話で父に忙しいから電話するなと言われました。

私は申し訳なさでいっぱいになって、泣きそうになりました。

そのあと、保安検査場を通ったあとでもう1度母に電話しました。

この時間には父は仕事に行っています。

電話で母に「お風呂、空焚きしちゃったんだって?ごめんね。私がシール貼ってたからママが間違えちゃったんだよね。ごめんね。」と伝えました。

母は「いいんだよ。ママもうお風呂にも入ったし。娘が気にすることないんだよ。大丈夫だからね。」と話してくれました。

私「パパから怒られたでしょ?」

母「うん。なんか言われた。でも、ほんとにママはお風呂に入ったから大丈夫だからね。気にしなくていいんだよ。」

 

私は少し涙が出ました。母が優しくしてくれたことが心に沁みました。また、父に怒られた内容を覚えていない様子で辛く、悲しくなりました。

どうしたら、母に生活の大変さが伝わるのでしょうか。

どうしたら、母と共存していけるのか。

 

飛行機の中でずっと考えていましたが、結局答えは分からないままです。